眼科救急医療の基本的な考え方
=他科の先生方へ=
私ども眼科医の所に,頭部外傷や意識障害の患者さんが運ばれてきたとき,私たちが当惑するのと同じように、眼外傷の患者さんが他科の先生方の所へ運ばれてきたとき先生方も緊張されることが多いと思います。
実は,ほとんどの,眼科医は検査や手術中に患者さんにarrestを起こされたら,お手上げということをご存じでしょうか?
緊急救命処置の現場では,眼科医として医療現場の経験を長年にわたって積み上げてきたベテラン眼科医でも下手をすれば,優れた研修中の内科医には負けてるのです。他科の患者を診るときは,結局その医師にとってどれだけ他科の経験を積んでいるかということが,緊急の場合の処置の適否を左右してしまうのではないでしょうか?
「眼科は苦手だから」といっても,眼の外傷を合併している複合外傷の患者さんを診るときには,眼を放置するわけには行かないのです。その医師にとって最善と思われる処置をとることは,医師としての仕事であるばかりでなく,医療訴訟を避けるための必須事項であるからです。
眼は,ご承知のように脳神経の出先機関でありながら,視覚情報を取り入れるための感覚器の一つで,しかも角膜には痛覚を担う神経がびっしりと張り巡らされており,患者の痛みの訴えも強いものがあります。そこで,眼科の研修を受ける機会のなかった先生方には,眼科の患者は苦手だからという先入観が存在していると思うのです。しかし,痛みを止めることができ,こつさえわかれば,眼の観察というのは意外に簡単なものなのです。
この講座では,診察をするためのノウハウと,判断の仕方,そして最低限の処置の方法について述べていきたいと思います。